地盤条件や周辺環境を考え、
安全で最適な設計を導く

Q.現在の仕事内容は？
私は大学の社会基盤工学科で構造力学を学びました。建物を建設する際、初めに基礎や地下空間を構築するために地面を掘削する必要があります。そのとき、周辺の地盤が崩れないように、あらかじめ鋼矢板やH型鋼という仮設鋼材を用いて地盤の安定性を確保します。これを土留め工事といい、工事を行う際に必要な仮設計画の構造設計が私の仕事です。
土質や地下水位、周辺環境などを踏まえ、最適な工法を選定します。東京では現場周辺に地下鉄や高速道路が走り、建物も多くあることから、それらに影響を与えず工事を進めるためには高い技術力が必要です。一方、入社１年目の配属先であった名古屋では「れき層」という固い地盤が多く、敷地にも余裕があるため、比較的シンプルな設計でも対応できました。それぞれの現場に見合った設計を導き出していくことが求められます。

同じ設計は二度とない。
自分のアイデアで工期短縮を実現

Q.この仕事のやりがいは？
アイデアを活かせることですね。土留め工事の設計では、建築物の図面を見ながら一から考えていくため、自分のアイデアを盛り込むことができます。また、設計の仕方で工期や施工の流れが大きく変わります。
印象に残っているのは、複合施設の建設工事で工期短縮を実現した案件です。その現場は再開発プロジェクトで、私が関わった時点ですでに工期が半年も遅れていました。そこで当社で開発した強靭な重仮設鋼材（マルケンタフシリーズ）を採用。これにより施工を簡素化したり、構造物の構築手順を変えたりすることで、工期を短縮し、遅れを取り戻すことができました。 逆に難しいと感じるのは、地面の下はどんなに綿密な計画をしても、実際に掘ってみないと状態がわからないこと。緻密な準備、計画をするのは当然のことながら、経験がとても重要になってきます。想定できないトラブルが起きた現場もありましたが、今は多少のことでは動じないようになりました。

技術力だけじゃない。
コミュニケーションが導く最適解

Q.仕事で大切にしていることは？
設計の仕事は技術力と知識量が重要と思われがちですが、同じくらいコミュニケーションを取ることも重要です。社内からは営業担当や工事担当など部署を超えて多くの意見がわたしたち設計に集まります。
社外では取引先の建設会社だけでなく、他の施工業者など多くの関係者との調整が欠かせません。こちらの要望を聞いてもらうためにも、何度も現場に足を運び関係性を築くことが大切です。
また、臨機応変に対応する柔軟性も欠かせません。たとえば、お客様から難しい要望をいただいた際も、「できない」とは言わず、代替案を提示しながら最適な解決策を見出すよう心がけています。綿密なコミュニケーションと良好な関係性づくりは、スムーズな工事進行のための重要な要素ですね。